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レアアース系酸化物超伝導線の超伝導はんだによる接合に成功

~永久電流運転が可能な強磁場電磁石の開発加速に期待~

国立研究開発法人物質・材料研究機構
国立研究開発法人科学技術振興機構

NIMSは、優れた磁場中超伝導特性を持つレアアース系酸化物超伝導線材を、超伝導はんだで接合し超伝導状態を保ったまま通電することに初めて成功しました。

概要

  1. 物質・材料研究機構は、優れた磁場中超伝導特性を持つレアアース系酸化物超伝導線材を、超伝導はんだで接合し超伝導状態を保ったまま通電することに初めて成功しました。新薬開発に欠かせないNMR (核磁気共鳴) 装置の永久電流運転が可能になるなど、超伝導線を使った強磁場磁石の開発が加速すると期待されます。
  2. 超伝導線を使った電磁石は、電気抵抗ゼロで大きな電流を流すことができ、強力な磁場を発生することができるため、新薬開発に欠かせないNMR装置などに応用されています。もし超伝導線同士を、"超伝導接合"できれば、電流をほぼ永久に流し続けることができるため、エネルギー消費の低減や電源によるノイズの排除が可能になります。超伝導接合技術の中でも、"超伝導はんだ"と呼ばれる低融点金属を用いた接合技術は、他の超伝導接合技術に比べて簡便で、広く利用されています。しかし、強磁場特性が抜群に優れたレアアース系酸化物超伝導線は、これまで、実用見込みのある超伝導線の中で唯一、超伝導はんだで接合することができず、その実用化が阻まれていました。
  3. 本研究では、超伝導はんだ接合を行う際に、超伝導層が大気に曝されないように保護層をスズ系合金で置換する初期の工程を詳しく調べ、スズ系合金はレアアース系酸化物超伝導層を侵食しやすく、超伝導状態を壊してしまうことを明らかにしました。一方、置換する時間が短すぎても良好な電気的結合が得られないため、スズ系合金による置換プロセスの時間を最適化し、さらに接合面同士を合わせた状態で加圧熱処理し、薄い銅箔で接合部分を固定することで、初めてレアアース系酸化物高温超伝導線材の超伝導はんだ接合に成功しました (下図参照) 。
  4. レアアース系酸化物超伝導線材での超伝導はんだ接合が可能になると、汎用のニオブ系超伝導線材との超伝導接合が可能となり、すべての実用見込みのある超伝導線材の接合が可能となります。これにより、強磁場永久電流運転電磁石の開発加速が期待できます。今後、レアアース系酸化物超伝導線材の優れた通電特性を永久電流運転で利用できれば、汎用NMR装置のコンパクト化も期待され、NMR市場の活性化にもつながります。
  5. 本研究は、国立研究開発法人物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点の伴野信哉主幹研究員らの研究チームによって行われました。本研究成果は、2018年春季低温工学・超電導学会 (2018年5月28日~30日開催) 、2018年国際応用超電導会議 (Applied Superconductivity Conference, Oct. 28 - Nov. 2, 2018, Seattle) にて発表されます。また本研究は 、科学技術振興機構 (JST) 未来社会創造事業 (大規模プロジェクト型) 「高温超電導線材接合技術の超高磁場NMRと鉄道き電線への社会実装」 (代表 : 前田秀明 国立研究開発法人科学技術振興機構プログラムマネージャー/国立研究開発法人理化学研究所 放射光科学総合研究センター 客員主管研究員) の支援を受けて実施されました。

「プレスリリース中の図 : 超伝導はんだ接続されたレアアース系超伝導線」の画像

プレスリリース中の図 : 超伝導はんだ接続されたレアアース系超伝導線




本件に関するお問合せ先

(研究内容に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
機能性材料研究拠点 低温超伝導線材グループ
(併任 : 技術開発・共用部門 強磁場ステーション)
主幹研究員 伴野信哉 (ばんののぶや)
TEL: 029-859-2535
E-Mail: banno.nobuya=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(JST事業に関すること)
国立研究開発法人科学技術振興機構
未来創造研究開発推進部
調査役 林部 尚 (はやしべ ひさし)
TEL: 03-6272-4004
E-Mail: kaikaku_mirai=jst.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(報道・広報に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL : 029-859-2026
FAX : 029-859-2017
E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
国立研究開発法人科学技術振興機構 広報課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
TEL: 03-5214-8404
Fax: 03-5214-8432
E-Mail: jstkoho=jst.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

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